江戸時代に虫歯になったらどんな治療をしたのでしょうか?
江戸時代の人たちにも虫歯はありました。
現代のように甘味料が豊富なわけではなく、質素な食生活をしていたので、今ほど虫歯になる人が多くはなかったと想像されます。
しかし、十分なブラッシング法もなく自然に任せていたので、歯の痛みに苦しむ人も少なくはなかったのです。
江戸時代にも歯医者がいましたので、治療に通う人もいましたが、それは一部の富裕層に限られます。
治療費が高いために、一般の町人はなかなかいくことができません。そのため「神頼み」などの方法に頼ったりもしていたようです。
歯医者の仕事は歯を抜くことだった!?
現代の歯科医院での治療では、虫歯の元となっている部分を削りとり、穴の開いたところに詰め物をしたりかぶせ物をしたりするのが普通です。
そのためには、歯を削る装置が必要ですが、そんなものは江戸時代にはありません。
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したがって、虫歯の「患部を削る」という発想はなかったのです。どうしようもないほど痛むのを治すためには、歯を抜くしかありません。
歯科医師の治療の基本は歯を抜くことだったのです。麻酔などありませんので、激しい痛みを伴いました。
お酒で感覚を鈍くさせた上で抜くこともあったようです。
痛み止めもありました
痛み止めによって一時的に虫歯を治療する方法もとられました。治療といっても、痛みを小さくするだけですので根本的には治したことにはなりません。
薬としては、丁字油(ちょうじゆ:クローブ油ともいう)や木炭が使われていました。効果のほどはともかく、漢方薬も使われていました。
入れ歯もありました
江戸時代には入れ歯師という職業がありました。歯科医師とは異なり、入れ歯づくりを専門に行う職人です。
もともとは木の仏像彫り師などが始めたと言われていますが、江戸時代になって仏像彫刻の仕事が減り、歯を彫る仕事を請け負うようになったようです。
材料は木ですが、歯ぐきの形に合わせて精巧につくられ、金属のバネを入れて隣の歯に引っかけて使う、現代のような方法もすでに発案されています。
歯の裏に穴をあけて糸を通して縛るという方法もありました。
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庶民は歯医者に行けない!?
歯医者で治療を受けられるのは、一部の上層階級に限られていました。豊かではない一般の町人たちには受けられません。
そのため、歯痛を抑えるために、治療以外の方法に頼っていました。
ひとつの方法は、神仏に祈願することです。神社仏閣にお参りし、おはらいや願掛けをしたり、お札(お守り、護符(ごふ))を買ったりして治そうとしました。
他にも、病封じのおまじないをとなえる、針やお灸をすえる、民間療法の生薬をのむ、梅干しを患部にはる、お地蔵さんの石で患部をなでる、竹筒を痛むところにあててその先に炎をかざす、大根おろしの汁を歯ぐきに塗るなど、さまざまな「治療」がありました。
歯ブラシ、歯磨き粉もありました
江戸時代にも虫歯予防のための歯磨きはありました。
房楊枝(ふさようじ)というもので、柳や杉、竹などで作られた12〜18cmほどの棒の先をたたいてつぶし、ブラシ状にしたものです。
そこにハッカやトウガラシ、丁子などを混ぜ合わせた薬味をつけて磨いていました。
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