江戸時代と正座

江戸時代には本当は正座をする人なんていなかった!?

江戸時代では正座というのは行儀の悪い座り方だった

現代では、洋間や洋式の家具などが普及したこともあり、正座をする機会というのはほとんどなくなってしまいました。

 

板の間に直接座ることの多かった江戸時代の人たちは、日常的に正座をしていたのだろうと思いがちですが、実は江戸時代には正座をする習慣はなかったのです。

 

時代劇などでよく見かける、女性が正座をして恭しく襖を開けるシーンは実際にはなかったようです。

 

それでは、江戸時代の人たちはどんな座り方をしていたのでしょうか?

 

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胡坐こそが江戸時代の礼儀正しい座り方です

現代では、和室で畳に座る際には正座が一番礼儀正しい座り方で、胡坐や立て膝は行儀が悪いとされています。

 

しかし、現代人にくらべてはるかに礼儀作法に厳しかったと思われる江戸時代の人たちは、胡坐や立て膝が当たり前だったのです。

 

胡坐といっても、私たちが普段しているような足を組んだ座り方ではなく、両膝を大きく開いて目の前で足の裏を合わせる座り方です。

 

歴代将軍の肖像画などを見てみると、実際にそのような座り方になっていることがお分かりになるかと思います。

 

しかも、この座り方は男性だけではなく、女性も同じように座ったようです。

 

こちらは信長の妹であるお市の方の肖像画ですが、どうみても胡坐をかいていますね。

 

実際に、明治維新前の武士たちや女性の肖像画の中で正座をしているものはほとんどないようです。

 

江戸時代には正座をする習慣がなく、当然ながら「正座」という呼び名もなかったわけですが、実際にそういった座り方をするのはむしろ行儀が悪いとされていたようです。

 

また、江戸時代において、正座は罪人の座り方でもありました。

 

時代劇などでも、奉行所でのお裁きの場面で罪人が正座をさせられていますが、あれは時代考証的に正しいといえるでしょう。

 

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座布団を使うのは病人か老人だけ

正座が礼儀正しい座り方だとされている現代では、畳敷きの和室でお客様をもてなすときには、当然ながら座布団の上に座ってもらいます。

 

しかし、江戸時代の中期ごろまでは、座布団を使うという習慣そのものがありませんでした。

 

お客様にうっかり座布団など出そうものなら「人を年寄り扱いするのか」と相手を怒らせてしまうこともあったようです。

 

なぜなら、その当時に座布団を使用するのは病人か老人だけだったからです。

 

座布団も敷かずに、板の間に直接座ることを考えたら、確かに正座をするのは厳しかったに違いありません。

 

こちらの吉田松陰の肖像画も、右側の自宅に残されていたオリジナルのものは胡坐をかいていますが、その後に書かれたものは左のようにすべて正座に書き換えられています。

 

このように、正座が礼儀正しい座り方であるという考え方は、江戸の末期から明治にかけて作られていったものと思われます。

 

三つ指を突いた挨拶は吉原の遊女が始めたもの

男性であればともかく、和服を着た江戸時代の女性が正座をほとんどせずに、胡坐や立て膝で過ごしたというのは、なんともイメージしにくいものですが、当時の肖像画を見る限りでは事実であるようです。

 

しかし、プライベートな場面やリラックスした状態のときなどには、いわゆる「横座り」もしていたようです。

 

現代の女性もよくやる正座を崩したような座り方ですね。

 

また、時代劇などでよく見かける、正座をした女性が襖を開けるシーンですが、こういった場面でも実際には正座ではなく立て膝で行っていたものと思われます。

 

それでは、こちらも時代劇などでときどき見かける女性が正座をして三つ指を突いて挨拶をする場面というのは実際にはどうだったのでしょうか?

 

実は、武家の子女が主人や来客に対して三つ指をついて挨拶をするなどという習慣はなく、三つ指を突いた挨拶は吉原の遊女が始めたとされています。

 

頭を深々と下げて挨拶をしたのでは髷の形が崩れてしまうので、仕方なく頭をあげたまま手だけ畳につけて挨拶をしたとうのが、三つ指をついた挨拶の真相のようです。

 

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